◆第35回「海外の共働き、家事育児の工夫」

 

北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の違いや気づきを綴るコラム。

第35回は「海外の共働き、家事育児の工夫」の話です。

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年が明けてもう1ヵ月以上とは......!時が流れるのは本当に早い。年齢を重ねれば重ねるほど、その速度は増しているように感じる。

 

1月はオミクロンの影響でここの学校はまたしても閉鎖で、新年早々オンライン授業でのスタートだった。子どもが在宅になることで、親も自動的に家での仕事が必須となる。仕事の合間に子どもの授業のサポートをしたり、食事を用意しなければならないのだ。

 

そんなイレギュラーな日々でいろいろと考えたのは、家事や育児のこと。

 

カナダは移民の国で人種によって文化背景も異なるので、みんな同じではないけれど、私の周辺は、中東系、アジア系の家庭は専業主婦がわりと多くて、ヨーロッパ、北米系はフルタイムがっつりの共働き系が多い印象。

 

例えば子どもの送迎は、朝と夕方に分けて、お互いの仕事のスケジュールをずらして担当している様子。育児はふたりで参加型で、もし離婚していたとしても、多くの元夫婦は子どもが行き来できる範囲に住んで、互いにスケジュールを調整しながら子どもの世話をふたりでしている。

 

一緒に住んでいれば、分担を細かくするというよりは、細かな家事はできるほうがやる。「育児は親ふたりでするもの」という文化が根付いているので、ワンオペ的なことはあまりなさそうだと、いろいろな親と話をしていて思う。

 

ただこれは日本とは違い、仕事が定時で上がれること(もちろん例外はあるけども)から実現できているのかなとも思う。

 

また、掃除を週に1回外注する家庭もわりと多くて、ほかにも幼い子どもがいればベビーシッターを気軽に利用している。それは仕事のときだけじゃなくて、プライベートのときも。そして「平日は料理をしない」というワーキングマザーもいた。

 

これは私もぜひ取り入れたい、と思った習慣だった。

 

平日は休日に作った残り物を食べたり、スープ類を大量に作りおきしておいて、数日に分けて出す。そこにはパンやチーズ、ハムを添える。ほかには、冷凍のピザやラザニア、瓶詰めのソースを使ったパスタ、ミールキットを定期便で頼んでいたりもする。

 

私は和食が好きで、海外に和食のミールキットなどは存在しないので、仕方なくいちから作っているけれど、和食というのは本当に下準備が多くて手間がかかるなあと思う。まあ、だからこそ健康にもいいし、美味しいのだけど……。仕事が忙しくて、子の送迎や習い事をこなしていると、しんどいなと思うことも事実だ。

 

私の母は専業主婦だったので、毎日何品もおかずを作ってくれていた。そうやって育ててもらったから、わが子が生まれてからの食生活に、じつは「これでいいのかなあ」という申し訳なさ感が少しあったのだ。

 

でもこうして海外の子育て家庭の食事情を知ることで、ワンプレートメニューや一汁一菜でも、「栄養は足りているし、これで大丈夫」と思えるようになった。なにより家族も満足してくれているとのことで、ホッとしている。

 

自分が母になって実感したのは、母親のマルチタスク感は本当にすさまじく、特に私たち日本人が考えている「母親の担うこと」は、とても多いということだった。

 

海外に住んで、さまざまな国の夫婦や家族のあり方を知ることで、私自身はだいぶこれまでに思ってきた「当たり前」をアップデートできた。こうやって家族のことも、自分のことも、しんどくならずに楽しめるバランスが作っていけるといいなあと最近は思っているのである。

 

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SASAKI 

海外移住をした編集者・ライター。取材・インタビュー記事が得意。英仏話者。人々の生き方や働き方、子育て、教育に興味あり。現地企業では新たな挑戦としてマーケティング・カウンセラーも経験し、いつか海外と日本の架け橋となるようなサポートもしてみたいと考えている。