◆ウィンターブルーを吹きとばせ

                                          ボッティング大田朋子

 

北半球にお住いのみなさん、寒さが本格化してきましたね。筆者が住むイギリスでも冬だから寒いは仕方がないんですが、何せ暗い、そしてこの暗さがキツイんです(叫び)!10月最後の日曜日にサマータイムが終わってからは、ただでさえ日没が早くなり始めていた上に時計の針を1時間戻したので、日が出ている時間が極端に短くなりました。こんなに暗くて寒いんだから気分が落ち込んでもしょうがないです。

 

そして11月になると毎年チラホラと耳にする「ウィンターブルー(冬季うつ病)」の季節でもあります。ウィンターブルーは日照時間が短い11月から3月に起りやすいので「SAD(Seasonal affective disorder、季節性感情障害)」(「悲しい」=Sadと掛けています)ともいわれていますが、イギリスや北欧のように冬になると日照時間が極端に短くなる国では子どもから大人まであらゆる年齢の人々に影響を及ぼしているらしいです。

 

冬季うつ病(SAD)の症状としては、気分が落ち込む、無気力、イライラ、睡眠障害、過食、非社交的になるなどがありますが、症状や表れ方の程度は人それぞれ。重要なのは「誰にでも起こりうる」と知って自分に合った対策をすること。

というわけで今回は巷に流れる「冬うつ対策」のなかで取り組みやすくて効果テキメンなアイデアをいくつか紹介します。一つや二つ、ご自身に合うものが見つかればよいのですが……。

 

・普段より15分長く眠る

現代は夜でも明るいので1年中同じパターンで生活できると思ってしまいがちですが、季節が変わる毎に「季節に合わせた生活習慣をする」と心がけることが大切。一つの指針として、「太陽とともに生活する」ことを心がけるとよいと言われています。

特にこれは睡眠時間に当てはめると体が楽になります。太陽が沈むのが早い冬は、普段よりも早く寝て余分に体を休めることで体調がよくなって気分が良くなります。状況が許すなら23時までに就寝が理想ですが、それが無理でも「冬の間はいつもよりも15分早く寝る」と決めてみてはいかがでしょう?

ちなみに、真冬の朝は起きる時間にまだ外が暗いので起きるのがツライ日も。そんな場合には、日の出を模倣したライトで徐々に目覚めされてくれるライト式の目覚まし時計を使ってみるのも一案です。

 

・用事がなくても午前中に外に出る

研究によると一日の早い時間帯に自然光を浴びる事で「概日リズム」を整えられるのだそう。朝の早い時間帯に日に当たることでセロトニンが分泌されて自律神経が整えられると夜もぐっすり眠れるのだとか。「えええっ、こんなに曇っているのに!」とビビッてしまう暗い日であっても外に出る効果は計り知れません。わざわざ着こんで外出するのが面倒な時はジャケットを着てコーヒーを片手に庭に出るだけでオッケーらしいです。できれば早朝、朝一は厳しいなら午前中の間に、または太陽が出ている明るい日には自然光が当たる屋外に出て、体に光を当ててあげてくださいね。

 

・食事の時間枠を12時間以内にする

「朝食を8時に食べたなら夕食は夜8時までに終える」というように、朝食後12時間以内に夕食を食べ終えるという「12時間食事枠」はシンプルなルールですが体調を整えるのに効果テキメン。毎日の食事の時間枠を12 時間以内にすることで血糖値の制御、免疫系の機能、消化不良に効果が得られることが研究からわかっています。食事の時間枠を決めるのは生活に合わないという人は、「寝る3時間前には食事を済ませる」と意識するのもよさそうです。

 

・呼吸で整える

気分が滅入ってきたなあという時には、深呼吸を繰り返してみてはどうでしょうか。鼻からゆっくり息を吸い、吸ったよりも長い時間(できれば倍の時間)をかけて鼻からゆっくり息を吐くのを繰り返すだけで、体のストレス反応をオフにしてリラックス反応を活性化できます。「吸う」よりも「吐く」ことに意識を向けてゆっくりと腹式呼吸をすることでだるさやイライラ、疲れやすいといった身体や気持ちの様々な不調を改善することができるんだそうです。

筆者はヨガの先生に教えてもらった「4秒かけて鼻から息を吸って4秒ホールド、その後8秒かけて息を吐き切る」“4-4-8呼吸”をしていますが、友人は「3秒かけて息を吸って4秒間止めて、5秒かけて息を吐く」“3-4-5呼吸法”がやりやすいと言っていました。吐くことから始める「6-3-3呼吸法」も一時話題になりました。色々な呼吸法を試してみて自分に合うやり方で呼吸を通して体調を整えてくださいね。

 

・お腹周りを温める

寒いと憂鬱になりがちですが、暖かくするだけで冬の憂鬱が半分に軽減されることが研究からわかっています。まずはお腹周りや腰を温めることから始めましょう。たくさんの臓器や血液が集まっているお腹を温めることで効率的に体全体を温めることができます。腸には全体の7割を占めるリンパ球がいるため、免疫力のアップも見込めるのだとか。腹巻をしたり、腰にジャケットを巻いたり、湯たんぽを使うといった手軽な方法でお腹と腰周りを温めてリラックスできますように!

 

・憂うつな日のメニューを予め決めておく

食べているものを見るとその日の気分が反映されているもの。気分がのらない時は献立を考えるのさえ億劫ですが、そういった時のために「気分が落ち込んでいる時に食べると良い食品」や「体を温める食事」といった献立を予めチェックしておき、好きな食事をいくつか選んで「マイ・元気が出る食事・飲み物」を決めておくのも良さそうです。

「冬に元気が出る飲み物」でいうとわが家では寒くなるこの季節になると朝食ではスパイスを利かせたチャイやハニーレモン、夜はホットチョコレートを家族で飲むことが定番になっています。私は寒くて暗い冬はいまでも大の苦手ですが、温かい気持ちにさせてくれるこれらのドリンクが冬の小さな楽しみになっています。

また「気分がのらない日の献立」を決めているおかげで気持ちが楽です。

例えば、作るのがしんどい日の食事は、家にある野菜と肉を入れるだけの鍋料理(豆乳、味噌、味噌と牛乳バター、キムチなどスープの味を代えるだけでバラエティーが出る)やご飯とおかずが一度に調理できる炊飯器レシピが定番。こういう自分にとって調理するのが簡単だけど体によい献立を予め決めておくだけで超加工食品に頼る回数を減らすことができそうです。

また小腹空き用にバナナやダークチョコレート、ナッツ類、ドライフルーツを買い置きしておくなどといった、自分の好みや生活に合った方法で体を労われるものを摂取したいですね。

 

・運動

ウォーキングやストレッチ、ヨガなど、何でも良いので自分に合った運動ができるとさらにグッドです。例えば毎日 1 時間の散歩をするとか、寝る前にヨガをするなど。体を動かすと気持ちをコントロールする神経伝達物質の「ドーパミン」が分泌されて気持ちが明るくなります。落ち込んでいたりイライラしている時でも「5分だけ」と決めて近所の散歩をするなどして体を動かせるといいですね。

 

・座りっぱなし要注意!

気持ちが乗らない日って座りっぱなしになっていることが多くないですか?デスクワークをしている人だけに限らず、現代人の不調の多くは座りっぱなしの生活からきていると言われています。座りすぎによる疲労やストレスがうつ病にもつながりかねないのだとか。スマホに夢中になっている時でも小まめに立ち上がるようにしたり、立って仕事ができるスタンディングデスクを使うなどして座りっぱなしにならないように意識したいです。

以上、すぐに実践できそうな冬うつ対策を紹介させて頂きましたが、気温が下がる季節はエネルギーを蓄える時期でもあるので、上手にエネルギーを蓄えながら自分に優しい生活ができるといいですね。

12月に入って何かと気ぜわしいシーズンかと存じますが、みなさまどうぞ体を大事に、よい冬をお迎えください。

 


ボッティング大田 朋子 Tomoko Botting-Ota

ライター&プロジェクトプロデューサー

 

アメリカ→ドイツ→インド→メキシコ→アルゼンチン→(数か月ばかりの英国滞在)を経て、2011年秋スペインへ移住。

現在イギリス・カンタベリー在住。

 

メキシコでオーガニック商品の輸出会社立ち上げ+運営。

アルゼンチンのブエノスアイレスでマンガの国際著作権エージェント立ち上げスペイン語出版。

 ⇒プロフィールはこちら https://tomokoota.wordpress.com/about/

 

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