◆第32回「夏休み・徒然なるままに〜」

北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の違いや気づきを綴るコラム。

第32回は「夏休み・徒然なるままに〜」の話です。

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 こちらでは、日本より少し早く6月下旬ごろから、徐々に教育機関が夏休みに入っていく。わが子の園も、6月の第3週目には夏休みに突入し、振り返れば、夏休みが始まってすでに1カ月以上がすぎた。

 

カナダの、おそらく多くの海外の学校には「夏休みの宿題」というものがない。夏休みは2カ月ちょっとと日本よりもかなり長めなのにもかかわらず。なぜ宿題がないのか?その理由は実はわからないのだけれども、夏休みが長いからか、ほとんどの子どもたちは夏休みに突入すると同時に、サマーキャンプというものに参加する。

 

サマーキャンプは、学校の延長線上のような普通の日常を過ごすものから、自然に特化した、森の中へ連日出かけるサマーキャンプや、スポーツや音楽に特化したもの、日本の夏合宿のように泊まりがけでおこなうものなど、いろいろな種類がそろっている。

 

共働きがデフォルトのカナダの親たちは、サマーキャンプのおかげで、子どもが夏休みに入っても引き続き、いつも通り仕事をすることができるのである。

 

わが家は、わたしがスケジュール的に融通の効く仕事であること、まだ年齢が幼いことから、仕事時間を調整しながら家で一緒に過ごしている。けども、まぁ正直なところ、自己主張がでてきて、中間反抗期?といわれる時期の子と、毎日「〇〇しようー」「いやだ」というやりとりをするのは、なかなかに骨が折れるなと感じている(苦笑)。

 

子どもはみなそうなのかもしれないが、学校ではきちんと先生の話を聞いて、うまいこと日々を過ごしているのに、いざ親になると全開になるこのイヤイヤ主張。言わなくていい場面でも、まずはNOと言っているよね?というこの腑に落ちない気持ち。

 

そこでこの時期にどうやったら、子に言うことを聞いてもらえるのか?といろいろ調べたら、でてきたのが「命令形」ではなく「提案形」で話をしてみようというものだった。つまり「〇〇しなさい」ではなく、「〇〇しよう!」と言い換えるのだ。

 

実際に試してみると、確かにこれは効く。100%ではないけど、半分は物事がスムーズに進む感じがした。しばらくは、これで戦ってみようと思う。

 

話は少し脱線してしまったけど、今年は在宅で仕事をしている親御さんも多いからか、子どもをサマーキャンプへ送らない人もいるようで、子のクラスメイトからも「プレイデイトをしよう!」と誘われたりもする。

 

その延長線上で、子が仲良くしているママさんと話をしていたら、同じクラスの子2人がこの夏転校することを知った。

 

日本だと転校をするときには、その際や学期終わりにクラスのみんなで寄せ書きをした色紙やプレゼントを渡したり、それがなくても、先生から子どもたちへ引っ越すことが伝えられた記憶がある。

 

そうすることで、仲良く遊んできたお友達とつかの間の別れを惜しむことができたのだけど、こちらでは引越しに関してはわりとドライな様子で、クラス内でというのはないのだそう。(子どもが大きくなれば、仲の良い子どもたちでそういったことをするのかもしれないが)

 

海外で子育てをして、教育機関とかかわる中で要所要所で感じるのは、こちらでは情緒的な面を教育機関で育んだり、大切にすることが、日本より少ないのかなということ。

 

その代わり、がんばったね!という褒めの文化は大いにあるので、「You are the best!」のような、子どもの自己肯定感を高めるような小さなイベントはクラス単位で頻繁におこなわれている。本当はこのどちらもがあると、子どもの成長にとっては最高なのだうなぁと思ったりするのである。

 

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SASAKI 

海外移住をきっかけに本格的に編集者・ライターになる。取材・インタビュー記事が得意。英仏話者。人々の生き方や働き方、子育て、教育に興味あり。現地企業では新たな挑戦としてマーケティング・カウンセラーも経験し、いつか海外と日本の架け橋となるようなサポートもしてみたいと考えている。