◆第42回「キャリアを積む、という山登り」の話です。

北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の違いや気づきを綴るコラム。

第42回は「キャリアを積む、という山登り」の話です。

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さて、久しぶりのコラム。いつもこの書き出しで思うのは、この文体ってコラムではなくエッセイな のではないかな?ということ。編集の仕事をしていると、「その言葉って適切?」という点にこだ わってしまうもので…、きっとそんなのは職業病でしかないと、ここでは気にせずに綴っていけれ ばと思う。 

 

私が最近少しだけモヤモヤしているのは、これからの自分の仕事、キャリアの築き方について だったりする。ライフイベントによるブランクを途中はさみながらも、気づけばこの仕事を始めてか ら、だいぶ長い月日が経った。 

 

初めの数年は、仕事を軌道に乗せるため、この道一本でキャリアを築きたいとがむしゃらに行動 をしてきた。そのアクションが実り、今度はこれまでつながったご縁からコンスタントに仕事ができ るようになって、とてもありがたいことに忙しくさせていただいた。そして、仕事中毒?のようになり 「仕事以外はなにもしたくない〜時間がもっと欲しい!」という時期を経て、今少し目標を見失って いる…(え、なにそれ?) 

 

今している仕事は、自分の一生の仕事にしたいと思っているし、おそらくこれまでの人生で一番 長く続いている仕事で、なおかつ毎度の仕事がほんとうに楽しい。もちろん、難しいとか、緊張を 強いるとか、納期がタイトとか、乗り越えなきゃいけない場面はいくつもあるのだけれど、どれも まったく苦じゃなくて、前向きに取り組むことができている。 

 

これまで数々の職種を経験してきた私には、「これって天職かも?」という時期もあったけれど、” 自分のやりたい”と”世間のニーズ”と”仕事としての提供価値”の3つがどれも揃っているのは、もし かしたら今回が初めてかもしれないと思うのだ。 

 

そんなにも大好きなこの仕事なのに、今年の春くらいからだろうか、「ここに向かって行くぞ!」と いう勢いがなくなってしまった。言うなれば、戦意喪失。いや、もしかしたら燃え尽き症候群的なも のなのかもしれない。 

 

この仕事でやりたいことはまだまだある、でもなんていうのか、行動までに至れない。この仕事や 事業をやる!と自ら決め、それらを信じて日々、猪突猛進して働いている起業家の方や個人事 業主の方であればわかってくれるだろうか。 

 

私はこれまで、もっともっと!と自分の目標における高みを目指してきた。イメージでいえば、「は い、クリア!」「はい、次のステップ!」というように、ひたすらに山を登ってきたような感覚で。でも いざ自分が目標とした山の頂に着いたら、「あれ?この後の行き先は?」となってしまったような、 そんな気持ちなのだ。 

 

なんだか少し話が壮大になり始めている気がする…これは単なる、一介のフリーランサーの話で はあるのだが…。 

「あれ、山に登ったら、とりあえず下山しなきゃいけないんだっけ?」「でも、せっかく登ったのに降 りるのはイヤだな、このまま近くの山に渡れないかな」「でもどうやって次の山に行こう?そもそ も、どの山に?」そんな感じで右往左往している最近の私なのである。

 

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SASAKI

海外移住をした編集者・ライター。取材・インタビュー記事が得意。英仏話者。人々の生き方や働き方、子育て、教育に興味あり。現地企業では新たな挑戦としてマーケティング・カウンセラーも経験し、いつか海外と日本の架け橋となるようなサポートもしてみたいと考えている。