◆アフリカ・ケニア旅行 2025年

                                          ボッティング大田朋子 

 

アフリカ・ケニア旅行

今回は7月に家族で向かったケニア旅行について。ケニアに行く目的はサファリで野生動物を見るため。サファリに行きたいと思ったのは今から何年も前のことで、当時幼かった娘が動物に興味があったので「アフリカにサファリに連れて行きたいね」と夫婦で話し始めたのがきっかけ。でもその後にコロナが起こり、私たち家族もイギリス国内での引っ越しがあり、と目まぐるしく過ごしているうちに随分と時間が経ってしまいました。サファリ旅行に最適といわれる6月から10月の乾季シーズン中に家族でまとまって取れる夏休みには毎年日本に行っていたのでサファリにベストシーズンに自分たちの予定が合わなかった事情もありました。

 

今年は日本行きの時期をずらしたこともあり「よし、今年こそサファリだ!」と予定を組み始めたのが去年の12月。長男が今年16歳になるのですが、あと数年したら家族旅行に一緒に来ない可能性が見えてきたことも今行く後押しになりました。というわけで、7月に入ってすぐの14日間ケニアでサファリとインド洋でのウォータースポーツを楽しみました。a

 

大まかな日程は、イギリスから飛行機で約9時間かけてケニアの首都ナイロビに向かい、1週間目はナイロビからオル・ペジェタ保護区(スィートウォーター動物保護区)、ナクル湖国立公園、マサイマラ国立保護区でサファリでの「ゲームドライブ(サファリカーで国立公園や保護区内をめぐること)」をして、2週間目はケニアの東海岸に位置するディアニビーチというインド洋沿岸のリゾートでシュノーケルやウィンドサーフィンを楽しみました。普段の旅行では予定を細かく決めない私たち家族ですが、ケニア旅行では利便性と安全を考えて全ての工程であらかじめプライベートツアーを組み、サファリでも専属のガイドさんを雇って運転とガイドをお願いしました。

 

・ヌーの大移動が目の前に!

ケニア旅行ではサファリで野生動物を目の前で見続けた1週間は特別で、「ビッグ5」と呼ばれるライオン、ゾウ、サイ、バッファロー、ヒョウをはじめ、多種多様な野生動物を目の前で見たのが何より特別でした。マサイマラ国立保護区やナクル湖国立公園には野生動物だけではなくさまざまな種類の鳥が生息していて、珍しい野鳥にもその美しさに圧倒されました。

私たちがサファリをした7月は数百万頭ものヌーやシマウマ、ガゼルといった草食動物がタンザニアのセレンゲティからケニアのマサイマラに大移動する現象「グレート・マイグレーション」が見られる時期で、目の前に何万頭のシマウマやヌーの群れが一斉に移動している姿を目の当たりにして本気で感動しました。旅行前に動物好きの娘につき合って野生動物や自然のドキュメンタリーをいくつも見ましたが、動物たちと同じ空気を吸っている一体感や広大なサバンナにいる感動は「そこにいてこそ」の現地感でした。

 

・屈託のない子どもたちの笑顔

そしてサファリと同じくらいケニアで一番印象深かったのは、ケニアの子どもたちの笑顔です。私たちはナイロビからオル・ペジェタ保護区、そしてナクル湖国立公園、そこからマサイマラ国立保護区までの移動をプライベートツアーをお願いしたガイドさんに運転してもらってドライブしたのですが、道を走っていて私たちのジープが見えると子どもたちが万遍の笑みを浮かべて大きく手を振っているんです。ジープが見えると外国人が乗っているとわかって嬉しいのか、あまりにも笑顔で手を振ってくるので始めは戸惑ったくらいでしたが、子どもたちが本気の笑顔で私たちに手を振り続けている場面が何度もあって、心が洗われました。私たちが手を振り返すとさらに笑顔で大きく手を振ってくる。本当に心温まりました。そのことを昔ケニアに住んでいた友達に話すと「始めはみんなそう思うんだよね」なんて言われてしまいましたが、子どもたちの笑顔って見ているだけで元気が出ますよね。地域によっては、私たちを見てジーッと固まっていた子どもたちもいたので地域差があるとは思うのですが、初見のわたしにはケニアの子どもたちの屈託のない笑顔は心に響きました。

 

・若者人口が多い国のパワー

ケニアに到着してすぐに若い人たちが多いことに驚きました。聞けばケニアでは15歳未満の子どもの割合が39%、15〜60歳が55.3%と若年層の割合がかなり高くて「人口ボーナス期」にあるのだとか。ちなみに65歳以上の人口はたった5%! 

近年は高齢化が進んでいる国ばかりに行っていたので、ケニアに降り立ってホテルでもレストランでも若い働き手が群がっている場面に「違和感」さえ味わいました。イギリスなら1人か二人の従業員で回しているような場面で5人、6人、下手したら10人ぐらいの従業員がいるなんて!それに近年はレストランの注文はアプリを介してだったり、スーパーもセルフレジだったりで「無人化」が進んでいる環境に慣れていたので、一つの仕事に数人が関わっている若者人口過多状況は新鮮でした。

若者への雇用創出やその元となる識字率向上や無償教育を浸透させるといった制度改革など課題はたくさんあるのでしょうが、社会に占める若者層の比率が高い国がもつパワーというか、豊富な労働力を発揮できる潜在的な力を感じました。

 

・ケニアのサービス業のレベルの高さ

都市部やサファリやビーチリゾートといった外国人向けの観光業での話になりますが、ケニアのサービス業のレベルの高さも印象的でした。観光業はケニアの重要な外貨獲得産業ということの表われなのでしょうが、ホテルやレストランでの従業員の超プロフェッショナルできめ細かな接客は嬉しい驚きでした。

 

・国の北側は北半球、南側は南半球

ケニアは赤道直下の国なので暑いと勝手に思い込んでいたのですが、私たちがケニアで滞在したナイロビやマサイマラ国立保護区は標高が高いので涼しくて、快適な気候にびっくりしました。話は反れますが国のほぼ中央を赤道が走っているので国の北側は北半球、南側は南半球だなんて、しびれますよね(笑)。サファリの後にインド洋に伸びているケニアの海岸線沿いにあるディアニビーチに行きましたが、そこは年間を通して高温多湿らしくディナ二空港に着いた途端、暑さと湿気を感じましたが暑いといっても7月に私たちが滞在していた1週間では26度~28度だったので不快感はゼロ。気候的には過ごしやすいのもケニアでびっくりした点でした。

 

・現地の人たちとの会話

ケニアでは42もの違う部族が暮らしているらしいですが、旅をしている最中にケニアの人達にとって「部族」への帰属意識が大きいのかなあと感じる場面が何度もありました。例えばマサイマラ国立保護区のロッジで従業員の人達と話していたとき、国際結婚の私たちに「あなたの国では違う部族と結婚するのは普通なのか?」と聞かれましたが、「国」が違うより「Tribe(部族)が違う」と考えるんだなあと。伝統を重んじるマサイ族が住む地域だったからか「君たちは恋愛結婚なのか」とも聞かれました。先進国ではなかなかされない質問ですよね!?

 

・予防接種スケジュール、マラリア対策の蚊除けと赤道直下ならではの紫外線対策

これからケニア旅行を考えている人へのアドバイスというか、ケニアに渡航する前に「もっと早く対策すべきだった!」と反省したことの一つに予防接種のスケジュールがあります。ケニアに渡航する際は黄熱ワクチンを始め、A型肝炎、B型肝炎、破傷風などのワクチンが推奨されていますが、そしてどの予防接種を受けた方がいいかは滞在地域や期間にとって判断が変わってくるのですが、私は渡航の数か月前に予約すればいいかとゆっくりと考えていた結果、痛い目にあいました。渡航2ケ月前に予防接種の予約を入れたら「NHS(国民保健サービス)では間に合わない」と言われ、家族4人分の予防接種をすべてプライベートで受診するしかなく、かなりの出費に。イギリスでは渡航に推奨されるいくつかのワクチンは無料で受けられるので、早めの行動がお薦めです!

 

抗マラリア薬に関しては副作用が強いと聞いていたので私も服用をためらったし、子どもたちに飲ませるにも心配がつきまとったのですが、「致し方ない」と覚悟して飲用しました。もちろん虫除け対策も万全にして!細かいことですがシャワーを浴びた後にDeet入りの虫除けクリームなんて塗りたくない私のような人には手首や足首につける虫除けリングに加えて天然由来成分100%でできたオーガニック虫よけスプレーがお薦めです。それと気候が快適なので日焼け対策をゆるめがちですが、赤道直下だけに紫外線がかなり強いので要注意!イギリス人の血が流れているうちの家族メンバーは日焼け止めクリームをあんなに小まめに塗っていたにもかかわらず真っ赤な肌になっていました。赤道直下の紫外線、恐るべしです。朝晩の冷え込みも激しいので防寒具も忘れずに!

学びと気づきがたくさんのケニア旅行でした。思い切って行ってよかったです。

 


ボッティング大田 朋子 Tomoko Botting-Ota

ライター&プロジェクトプロデューサー

 

アメリカ→ドイツ→インド→メキシコ→アルゼンチン→(数か月ばかりの英国滞在)を経て、2011年秋スペインへ移住。

現在イギリス・カンタベリー在住。

 

メキシコでオーガニック商品の輸出会社立ち上げ+運営。

アルゼンチンのブエノスアイレスでマンガの国際著作権エージェント立ち上げスペイン語出版。

プロフィールはこちら https://tomokoota.wordpress.com/about/

ブログ https://tomokoota.wordpress.com/