◆コロナ禍のイギリス9月レポート ウィズコロナから2ケ月、渡航制限が大幅に緩和

                                           

                                              ボッティング大田 朋子

 

 

・日本からイギリス入国、規制が簡易化

9月のイギリスでコロナ関係の大きなニュースといえば、渡航制限が緩和されたことだ。

日本からイギリスに入国する際に課されていた制限も、大幅に緩和されることになった。10月4日以降、日本からイギリスに渡航する際、ワクチンの2回接種を証明できれば(入国の14日前までに対象国の保健当局が定めたワクチン接種を終えていることが条件)渡航前のPCR検査やイギリス入国後に課されていた10日間の自主隔離が不要になる。

 

もちろん、現在でも一日約3万人もの新規感染者がいるイギリスに今あえてレジャー目的で渡航するのはまだ決して安全とはいえないが、家族がイギリスに住んでいて離れ離れになっている人やビジネスで渡航が不可欠な人たちにとっては、少し足かせがとれることになる。

 

・イギリスから日本への入国は?

同様、イギリスから日本に入国する条件も緩和の兆しを見せている。9月某日、在英国日本国大使館から在英日本人にメールが届いたが、そのメールを何度も読み返した日本人はわたしだけではなかったはず。

 

日本大使館からの知らせによると、10月1日午前0時以降にイギリスから日本に入国する際、条件を満たした有効なワクチン接種証明書を保持していれば、それまで求められていた「検疫所が確保する宿泊施設での3日間の待機」が免除、つまり日本到着後に強制されていたホテル隔離が今後はなくなるとの知らせだった。その上入国後14日間だった自宅等での待機期間が10日間に短縮される!?

 

大使館からのメールを読みながら心を躍らせ「やったー、日本に行きやすくなる!」との喜びもつかの間、小さい文字で書かれた部分をよくよく読んでいくと、ワクチン接種が認められていない子どもには待機短縮は認められていない。つまりワクチン未接種の子どもを連れて日本に帰国しても入国後14日間の隔離期間は変わらないようだった。

 

また、隔離期間を短縮するためには入国後10日目に自費で検査して陰性であることが条件だが、検査結果がわかるのは翌日以降とされている。自費で検査を受け、翌日の11日目以降に結果がわかっても、それから証明書を送信、待機終了証明を発行される時間を冷静に数えていくと、一体どれだけの期間が短縮できるのかと思わず考えてしまう。ともあれ、10月4日以降の状況をしばらく見守るしかないだろう。

 

また、ワクチン接種証明書の有無にかかわらず「出国前72時間以内の検査証明書」の提出や日本に入国した際の検疫所での検査は引き続き実施される。時間とお金を余分にかけないと日本への渡航ができないという点はまだ変わらない。

 

・ウィズコロナ先進国といわれるイギリス

イギリスはデルタ株が猛威を振う真っ最中の7月、新型コロナウィルスに関する国内での制限を全面的に解除した。制限解除の時期に関しては「時期尚早」との批判も浴びたが、ともかく制限を解除してから2ケ月以上が経過した。

 

新型コロナウィルスに関するほぼすべての法的規制が解除された7月19日以降、イギリス国内で顕著に「アフターコロナ」に映る行動をあえて挙げると、「マスクの不着用」だろう。ロックダウン全面解除以降は店舗内や公共交通機関、各種屋内施設でのマスク着用の法的義務は解除されていて「マスク着用は推奨されるが、義務ではない」というのがイギリスでの一般的な認識だ中学一年生にあたるわが子は、廊下や食堂といった学校内の共有スペースやスクールバス内ではマスク着用が求められているので学校にはマスクを持参しているが、それ以外のところで「あっ、マスクを忘れてしまった!」となる場面がめっきり減った。

 

筆者は週に数回バス(公共交通機関)を利用する。バス内では特別の理由がない限りマスクの着用が義務と表示されているが、バス内で周りを見渡すとマスクをつけている人は乗車客の1割ほど。イギリス人のマスク嫌いはよく知られるところだが、ここでマスク着用を個人の常識に委ねるとどうなるかがはっきりわかる。

 

ともかく、この冬に新たに表れるかもしれない変異種にどこまで対応していけるかが、イギリスのアフターコロナの決め手となるだろう。

 

・ウィズコロナのなか働き方

外出禁止が出された2019年3月以降、イギリスでは急速にリモートワークが進んだが、夏の規制撤廃からは、オフィスワークとリモートを併用する「ハイブリッド勤務」を続けている会社が多い。とはいえ出勤しないと仕事ができない職種の人たちはすでに「普通」の勤務体制に戻っているが。オフィスワークをする周りの友達を見ると、例えば銀行に勤務する友人は9月始めに一年半ぶりに出社し、今は週1出社、年内はその勤務スタイルが続きそうだとのこと。大学で教える友達も、学生は対面授業に戻ったが、教える本人は週2回だけ大学に行くといっていた。ウィズコロナのなかで、新たな働き方の模索が続く。

 

・子どもへのワクチン接種が

今個人的に気になるのは、子どもへのワクチン接種だ。昨今イギリスでは12歳から15歳までの子どもたちも保護者の同意があれば新型コロナウイルスワクチンを接種できるようになった。うちの子どもたちが通う学校でも先週学校でコロナワクチン接種が行われた。

 

わが子は11歳で今回は対象にならなかったが、もう少しで12歳の誕生日を迎え接種対象年齢に入る。コロナワクチンに関してはそれぞれの意見があるが、個人的にはまだ長期的な効果がわかっていないコロナワクチンを子どもに接種させたくないと渋っている。わたしたち大人が慎重に、急ぎ過ぎずに子どもたちに安全な選択をしていきたいものだ。

 


ボッティング大田 朋子 Tomoko Botting-Ota

ライター&プロジェクトプロデューサー

 

アメリカ→ドイツ→インド→メキシコ→アルゼンチン→(数か月ばかりの英国滞在)を経て、2011年秋スペインへ移住。

現在イギリス・カンタベリー在住。

 

メキシコでオーガニック商品の輸出会社立ち上げ+運営。

アルゼンチンのブエノスアイレスでマンガの国際著作権エージェント立ち上げスペイン語出版。

 ⇒プロフィールはこちら https://tomokoota.wordpress.com/about/

 

ブログ https://tomokoota.wordpress.com/