◆第41回「仕事と子育て、楽なのはどちら」

北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の違いや気づきを綴るコラム。

第41回は「仕事と子育て、楽なのはどちら」の話です。

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私がつねづね思っていることに、仕事は子育てより断然ラクだ...!がある。

 

ここ10年くらいだろうか?日本でも都市部の方では、子どもが生まれても女性は仕事を続けることが増えてきたけれど、地方在住の友人によれば、地方はまだまだ男性がメインで仕事をして、女性は育児が中心。仕事はあくまでも育児を妨げない程度に、または子どもが小さいうちは仕事はしない、という家庭が多いという。

 

一方で、北米は日本よりも早くに男女平等が確立されたので、女性は仕事を継続する前提にあって、子どもが生まれても男女が担う家事や子育てのボリュームはおおむね対等になっている。男性は積極的に子どものお世話、食事の準備、家の掃除等をするのだ。わが家もいわゆる北米スタイルだったので、日本に住む友人の産後の話を聞くと、なんだか申し訳ないくらいに恵まれているな...と感じることも多かった。

 

そんな私は、離乳食を完了したあたりから子を保育園に預け、1日3時間ほどからとゆるく仕事をスタートした。久しぶりの仕事は、ワンオペでしんどい思いをしたことが少ない私でさえ、”子育てに比べたら仕事ってパラダイスだな!”と感動するほどに楽しいもので、世界が広がるような気分になったのを今でも覚えている。

 

誤解なきように伝えたいが、私も仕事には人一倍責任感をもって望んでいるので、あたりまえに仕事は大変。でも、一人の命を守り育てる育児は本当に大変で、その責任を伴う緊張感には到底およばないし、あれやこれやと想定外の出来事が起こる毎日は、これまでの人生経験がまったく役に立たないほどに難易度が高かった。

 

子どもと二人っきりで向き合い、そこそこの期間子育てをした方であれば、きっとみなさん同じ思いになるのではないだろうか。

 

子が少し大きくなり、自分の好きな仕事を満足にできる程度には抱えられるようになったのは、この数年ほど。子育ての経験があるからこそ、仕事のいろいろにもあまり動じずにタフに働けるようになったんだなあと、ちょっと一区切りの思いで最近は充実感を感じていたのだが...だんだんと雲行きが怪しくなってきた。

 

わが子は、とにかく昼寝が嫌いとか、氷点下の日でも毎日外遊びをしないと体力があり余って困るとか、救急車に何度もお世話になるなどがあったので、決して順調すぎる幼児期を過ごしたわけではない。けれども性格はわりと老人のような(笑)、少し達観した子だったので、そこまで手がかかることがなかったという記憶がある。

 

しかし、成長と共に口が達者になり、イヤなものはイヤだという心の強さ?(親に似た頑固さ)がでるようになり、ほめる作戦も、怒る作戦も、言い聞かせる作戦も、まったくどれも効かずに詰む、ということがここ最近増えてきているのだ。そんな場面が毎日のようにポコポコと起きている。

 

この苦難に私はもうお手上げ状態。なんなら一か月くらい家を離れて、一人穏やかに過ごしたい気持ちでいっぱいになっている。この状況を子育ての先輩に話したところ、「まだまだこれからもあるよー」と、ニヤリとされた。そうだった...ミニマムでも大学卒業までの22年間、子育てはまだまだ続くのだ。22年って仕事歴にしたら、部長クラス?そこまで継続してやっとゴール気分を味わえ

 るのだと目を覚ます。

 

やっぱり仕事って子育てよりラクだよね、と改めて思うのだった。

 

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SASAKI

海外移住をした編集者・ライター。取材・インタビュー記事が得意。英仏話者。人々の生き方や働き方、子育て、教育に興味あり。現地企業では新たな挑戦としてマーケティング・カウンセラーも経験し、いつか海外と日本の架け橋となるようなサポートもしてみたいと考えている。