◆第40回「海外と日本どちらに住む?」

 北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の違いや気づきを綴るコラム。

第40回は「海外と日本どちらに住む?」の話です。

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今年は暖かい冬になりそうだ…と思っていたのもつかの間、11月も半ばを過ぎた頃、今年初の雪が降った。 

 

思いがけず脳内に浮かんだのは、槇原敬之の「冬がはじまるよ」。歌声とメロディーがとても好きなので、ほっこりな気分に。そして、そこからグッと気温も下がり、冬本番!のためのコートとブー ツを装着して、毎日子を送迎している。 

 

子はカナダのこの寒い冬が大好きで、初雪に大喜びし、まだ少ない積雪ながらも早速雪滑りを堪 能した。「冬は日本へ行きたくない!」と言うほどの冬好きだ。しかし、冬といえば「温泉」の私に とっては、なかなかに厳しい季節の到来。 

 

実はここ数年ずっと考えていることがある。 

 

それは、日本と海外が半々の2拠点生活ができないか?ということ。この地で生活をしてだいぶ 年月が経っているが、移住当初に期待していた「海外も住めば都」は、こと私に限ってはどうやら 当てはまらなかったようで。歳を重ねれば重ねるほど、少しづつ、だんだんとしんどくなってきてい る。 

 

普通であれば、夫や子どもがいるからと躊躇をするかもしれないが、なんというか、躊躇をしてが んばっていた時期が過ぎ、いよいよ…!的な気持ちになってしまっているのだ。 

 

家族は大好きだし、一緒にいたい。でも夫にはキャリアがあるし、子はカナダも日本も好きだけれども、学校はカナダの方がいいと言う。 

 

これまでは、”結婚をしたのだから”と、夫と子ども優先で、家族がスムーズにいくように調整をし て、自分の生き方や働き方を合わせてきた。でも自分も年齢を重ねて、両親も年老いてきている 今、自分の家族との時間をもっと過ごしたいと思ったり、日本で私がhappyになる食生活を送りた いと、どうしても思ってしまう。 

 

きっとこういう考えになってきたのは、年老いて亡くなる方や病気になる人が周りに増えてきたか らかもしれない。もう少し自分の人生や生活を優先させたくなってきているのだと感じる。 

 

もちろん、カナダの生活も好きだ。でも寒い時期が5ヵ月間あるのは辛いし、食も楽しめない、そし て医療体制もあまり良くない。最近の体調不良も相まって、海外生活の個人的な満足度としては 50%ほど。日本と比べていいと思う点は、教育や人との関わり方だろうか。だから正直なところ、 子どもが成長する場としては、ここの方がいいのかもしれないとも思っている。

 

と、日本とカナダどっちがいいの?と考えを行ったり来たりする中で、でできたアイデアが2拠点生 活だったのだ。 

 

やり方としては二つある。一つは、私が年に2回日本へ行くこと。年に1回は単独で、もう1回は家 族で、というふうに。これなら家族の生活はほとんど変わらないで済む。ただ、旅費は高くつく。

もう一つは、年の半分くらい日本に住むこと。その場合は、私と子どもが数ヵ月先に日本に滞在して、夫は残り半分を一緒に日本で過ごせるように仕事を調整する。ただ、これができるのは子が 小さいうち、小学生の間くらいまでかもしれない。 

 

どちらがいいのだろうか?こういう生活の経験がある方はいるのか?とインターネットの海を彷徨ったけれども、いまだ出会えず。試したいなら、独自ルートになってしまうんだろうなと、少し不 安もある。 

 

とはいえ、海外生活にストレスを感じるようになってきてしまったここ数年、ここらで一度ブレイクを入れないと、この地が嫌いになってしまったり、ストレス過剰で病気になってしまうのではという恐 れもある。 

 

そんなことを悶々と考えていたら、フランス人のママ友も私と同じように考えていて、来年は家族 でフランスに住むことを検討しているという。さすがは、移民の国だ。そして彼女は、私よりも遥か に長い年月をこの地で暮らしており、それだけの歳月が経ったとしてもなお、年を重ねると自国が 恋しくなるものなのだなあと少し安心した。 

 

オチがなくて申し訳ないけども、私はいまだ逡巡している。家族の関係は守りたいし、第一に、子 は幸せでなければならない。でも私の幸せは…?その答えを、来年には見つけて何かしら行動 に移したいなと考えているこの頃なのである。

 

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SASAKI

海外移住をした編集者・ライター。取材・インタビュー記事が得意。英仏話者。人々の生き方や働き方、子育て、教育に興味あり。現地企業では新たな挑戦としてマーケティング・カウンセラーも経験し、いつか海外と日本の架け橋となるようなサポートもしてみたいと考えている。