◆第31回「日本に帰れる!?希望の光と海外に住むということ」

北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の違いや気づきを綴るコラム。

第31回は「日本に帰れる!?希望の光と海外に住むということ」の話です。

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やっとやっと、コロナ中でも希望が見えてきた。5月中旬に、政府から規制緩和プランが発表されたのだ!

 

その内容は、

 

5月下旬には夜間外出ができ、レストランでのテラス営業を開始。人数制限はあれど個人宅での野外会合を許可。6月中旬以降には、自宅の行き来や、野外でのスポーツやレジャーの許可。2回のワクチン接種を完了した者同士であれば、室内でもマスクなし、距離なし交流を許可し、2500人までのフェスティバルや野外行事もできる。

 

というもの。

 

カナダ・ケベック州では、日本の緊急事態宣言とは比べものにならない厳しさで、感染予防のために規制を施してきたけれど、日本のようにすんなりと政府のお達しを聞く人なんて、まぁいるけども……割合としては半々かな?という印象なので、感染人口は減らない状況が続いていた。

 

そんな中で1年越しで(いやもっと長かった)、日本に帰れる希望も見えてきたのだ……!

 

今回の規制緩和の発表を聞いたとき、わたしは自分が思っていたよりも、心底ホッとしたし、ほんとうに何かがスッとなくなって、心が軽くなった気がした。じつはこの状態に相当の不安やストレスを感じていたんだなと気がついた。

 

カナダでは日本の施策と異なり、まずは感染による最悪のケースを防ぐために1回目をできるだけ多くの人に接種してもらい、その後順に2回目の接種としている。

 

わたしもこの間ワクチンをしたけど、2度目の予約は約3ヶ月後に設定された。わたしが受けたのはファイザー。第1回目接種では、熱や吐き気といった副作用は全くなかったけれど、腕がずっとパンチされているような痛みが2日ほどあった。(夜中寝返りを打ったときに、痛くて目が覚めたくらい)

 

会場にはファイザーとモデルナが用意されていて、スタッフの人から今日はこちらを接種ですと指定される。しかし、例えば本人が、「〇〇のワクチンでなければ打ちたくありません」と言えば、すぐにその個人の希望が認められて変更してくれるとのことで、そういった個人を尊重する対応は海外らしいなと思った。

 

カナダでもワクチン接種に慎重な人は多いが、政府が発表している内容を見ていると、”州の予防接種率が〇%に達せば、〇〇ができる」といった条件付きの緩和ルールになっているので、そうすることで市民のワクチン接種を促すという意図も垣間みえる。

 

アメリカでは、ワクチンを受けた人が抽選で賞金を受け取れるなど、ワクチン推進のための派手なキャンペーンもおこなったりしていて、なんだかお国柄が出ていておもしろい。

日本にいる両親はワクチンはまだなので、2人が接種完了しないと、会いたくても会いに行けない。その日をほんとうに心待ちにしている。

 

これまでわたしは、日本とカナダの距離をそこまで遠いとは考えていなかった。いや、物理的距離はある。飛行機で直行便でも12−13時間と考えると、まぁ遠いとは思う。それでもチケットさえ取れれば、最短2日ほどで家族には会えると思ってきたので、海外移住にそこまで、「故郷よさようなら」という気持ちはなかったのだ。

 

しかしコロナが流行り、そこから過ごしたこの1年間で、日本はとてつもなく遠い場所になった。そして家族になにかあったらと思うと、その不安は膨らむばかり。こんな気持ちの状態で、今後も海外に住むことができるのか、将来は?とリアルに先が心配になった期間でもあった。

 

家族が他国にいるカナダの友人などは、「親の死に目に会えないかもしれないことはもう諦めているし、親にも了承を得ている」という人もいるけども、わたしにはそんな覚悟もないし、どうしてもそんな気持ちにはなれないのである。

 

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SASAKI 

海外移住をきっかけに本格的に編集者・ライターになる。取材・インタビュー記事が得意。英仏話者。人々の生き方や働き方、子育て、教育に興味あり。現地企業では新たな挑戦としてマーケティング・カウンセラーも経験し、いつか海外と日本の架け橋となるようなサポートもしてみたいと考えている。